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ものづくり補助金よくある失敗例

本日はものづくり補助金に関して、
よくある失敗例について取り上げます。

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1.製品が不明確
不採択で一番多いパターンがこれだと思います。
よく誤解されているのですが、
「えっ?これって中小企業を応援するための補助金でしょ?」
はっきり言いますが、違います。
結果的にそうなっているのは認めますし、
いわゆるバラマキを意識して
創設された補助金だと私も思いますが、
しかし大義名分は異なります。
この補助金は、
「日本のモノづくり」を応援するための補助金です。
「個々の会社」を応援するものではありません。

日本にはいろんなメーカーがありますよね。
金属加工や樹脂加工、バイオに医薬、食品や自動車、
それぞれの会社が切磋琢磨して
日本のモノづくりを支えているわけです。
中国はじめ新興国の追い上げが激しい中、
日本が引き続きモノづくり大国として
位置し続けるためには、
それぞれの製造に関する「技術」の革新が不可避です。
これを、中小企業に直接補助金を交付することで達成しよう、
というのがものづくり補助金の趣旨です。
金属加工は金属加工の、
バイオはバイオの、先端的な技術を伸ばしてもらって、
日本全体の製造力の底上げをしましょう、ということなのです。

ということは、「当社の納期を短縮できる」ではダメなわけです。
厳密に言うと、
納期を短縮できると日本全体にどれほど良い効果があるかを
説明することさえできれば問題は無いのですが、
まあ無理でしょう。
同様に、「当社の製品の精度が上がる」
「コストが下がる」も難しい。
この切り口で取り組むこと自体が、
自分で採択のハードルを上げているようなものです。

ではどうすればよいかというと、
補助金をもらえたら何を作るのか、
「製品」を明確にすることです。
納期の短縮であれば、短縮がもたらすプラスの効果を
会社が主体的に説明する必要がありますが、
この点「製品」の場合、「製品」のチョイスさえ間違わなければ
その製品自体が能弁に説明してくれることになります。

例えば全く同じものを作る2社があった場合に、
「最新型加工機の導入による納期の短縮」という説明と、
「最新型加工機の導入による新型新幹線の部品の製造」、
どちらが採択されやすいと思いますか?
私見ですが、圧倒的に後者でしょう。
だって新幹線ですよ。国策じゃないですか。
新型新幹線の部品を作るんですよ。
日本全体への効果は計り知れません。
余計な説明は要りませんって。

会社が作っているのがねじだろうがボルトだろうが
ブレーキだろうがモーターの部品だろうが、何でも良いんです。
要はそれが最終的に何に使われているか、
これを明確にできないと、審査する方が困っちゃいますよ。
納期短縮がどれほど日本全体に効果があるか
を熱く語ったところで、
「新幹線」の3文字と比べたら、やっぱり弱いですよ。
「医療」とか「人工衛星」とかね。
「自動車」も強いですね。

2.製品の「新規性」不足
製品のチョイスにおいて一番考慮するべきポイントがここですね。
最終製品のイメージ自体がポジティブかネガティブかによって
採択、不採択が大きく左右されるのは、
経験的に言って事実です。
しかし、中には「医療をテーマに書いたのにダメだった」
というような声が無いこともありません。

正直、医療といっても幅広いですからね。
新型の注射針を作ろう、ですとか、
MRI向けに磁化されない素材を開発しよう、ですとか、
そういった内容なら問題ありませんね。
しかし、樹脂加工でMRIのカバーを作ろう、
だとちょっと難しいですね。
本当はすごい精度が必要なのかもしれません。
しれませんが、申し訳ないですが、
カバーと聞いてもピンと来ません。
カバーに精度が要ると説明されてもしっくり来ないのです。

この補助金は「新技術」や「新製品」をターゲットにした
補助金ですので、その製品に「新規性」が無ければいけません。
これはその会社にとっての新規性があればいいわけですから、
他社が先行しているものであっても問題はありません。
例えば、バイオの研究をしている会社があって、
この設備を導入できればES細胞を生産できるようになるんです、
これはOKだと思いますね。
「ES細胞?もう作っているところがあるから新規性なし!」
とはならないと思います。
一方、この設備を導入できればマグカップを大量生産できる、
これはダメだと思いますね。
もちろん、そのマグカップが特殊な素材でできている、とか
そういう追加説明があればOKになることもあると思いますよ。
結局、イメージの問題です。

この点、普通の中小企業はこのような新規の製品について
研究開発したりできるような余裕はなく、
発注元から言われるがまま製造している場合がほとんどです。
こういう状況でどうやって「新規性」を謳うか、ですが、
これは「より高精度な○○」という言い方
をするしかないと思いますね。

ここで冒頭の医療機器のカバーになるわけですが、
全く新しいカバーの製造、なんて普通はありえないわけです。
そこで申請書では「より高精度化したカバーの製造」とか
そういう話になるわけですが、うーん、やっぱり弱いですよね。
カバーを高精度化させるべき理由が難しい。
どれだけ書いても上滑りしてしまいそうです。
こうなってくると、「不採択。新規性が感じられない」
ということになってしまうわけです。

じゃあ医療機器のセンサーならどうか。
「より高精度化した医療機器向けセンサーの開発」
これはいけそうですね!

「なんだよ、どこから発注を受けているかが全てってこと?」
「カバーの製造ってすごく高い技術なんだけど。」
「うちの仕事、馬鹿にしてる?」
「センサーなんて部品買ってきて組み立てしてるだけでしょ。」
・・・おっしゃることはごもっとも。
でも、仕方ないですよ。そんなものでしょう。
審査員だって人間ですから。

3.会社がその製品を作る「必然性」が不足
何を作るか、というか、何を作ることにするかが決まりました。
製品的にも新規性を主張できそうです。
よし、じゃあ書くぞ、ということで製品の説明をして・・・
ちょっと待って下さい。
なぜ、御社がその製品に取り組むか、理由を書いていますか?

「いや、発注を受けたから」
それは言っちゃだめなやつですね。
そもそも新製品とか新技術が対象ですからね。
もう作れてしまうのであれば補助の対象外ですから。
もちろん、発注を受けてはいるものの、
現状の設備では対応困難、
なので新しい設備を導入します、これならOKですよ。

金属加工の会社が
バイオの研究をしても意味が無いですからね。
そういう意味で、会社の歴史や現状の保有技術を説明し、
「十分に高い技術を有する当社が、さらなる高みに登るためには」
この機械が必要なのです、とかそんな説明が必要です。

感覚的には、そういう受注ができている時点で、
高い技術を持っていることぐらいわかるでしょう、
となるとは思うのですが、申請書には「取り組む必然性」も
ちゃんと文字で書いておかないとダメなのかな、と思います。

4.導入予定機械とその製品製造との「関連性」が不
ついに来ました。ここです。ここ。
申請書作成の最大の難関です。
「なぜ、その機械なのか」
これを説明しなければならないのです。

機械を1台だけ申請される場合には比較的簡単なのですが、
複数種類の機械を導入する場合、
等比級数的に難易度が高まります。

というのも、通常、機械ごとに導入目的が異なるからです。
「これは納期短縮のため」
「これは高度な加工のため」
「これは特殊な検査のため」
「これは・・・のため」
この目的、全て申請書に「解決方法」
として書かなければなりません。
これこれの機械を導入すると、これこれが解決します、
そんな感じですね。
それは良いのですが、
解決するということは問題があったということで、
その問題はその製品、
申請書で取り上げている「特定の製品」の製造において
生じていた、という説明が必要になります。
これが難しいのです。

高度な加工、これは通常は問題ないです。
加工精度が向上すれば製品精度も向上しますから、
より精密さが要求される
今後のなになに(車でも医療機器でも)
で使われる部品が開発できます、
という感じのきれいなストーリーが書けます。
工作機械関係は書きやすいですね。

精密さが要求される場面で使われる部品の、
「場面」や「部品そのもの」
次第ではありますが、
そういう製品であれば通常、検査も大変でしょう。
ということで特殊な検査、これもストーリーに組み込めそうです。

で、納期の短縮ですよ。
封緘機を買いたいんです、とか、梱包機が欲しいんです、とか。
わかります。組立とか梱包とか面倒ですもんね。
でも、うーん、これをどうストーリーに入れるかですよ。
ストーリーの軸は「新規性」であり、
それは通常、「高精度化」と読み替えられています。
この「高精度化」の説明を補強するために、
明らかに高精度が要求されそうな製品を選んで
ストーリーを組み立ててくださいね、ということなのですが、
最後に欲しい機械が「梱包機」だとねぇ・・・
確かに納期は短くなると思いますよ。
でも、それって、補助金を交付してまで、
国民の血税を使ってまでやるべきことですか?
という話になってしまうと思いますね。
少なくとも、審査している人間は、
そう判断せざるを得ないんじゃないでしょうか。

5.製品の市場の「将来性」が不足
補助金、出どころは国民の税金です。
税金の無駄遣いに厳しいこの世の中、
補助金についてもそういった視点が持ち込まれています。
費用対効果です。

せっかく税金を投入して、すばらしい技術革新が生まれても、
それが回りまわって税収として回収できなければ、
補助金交付という投資は失敗なわけですよね。
ですので、この製品を開発できれば儲かりますよ、
と申請書に書いておく必要があるわけです。
こういった記載内容も加点の対象になります。

「いやいや、儲かるかどうかわかったら苦労しないよ。」
という声が聞こえてきそうです。
「そんなのどうやって採点するの?」
という声もあるでしょう。
私も採点の方法は良くわからないのですが、
冷静に考えると、これも製品に引っ張られるしかないのかな
と思いますね。

その製品がそもそも響きがよい産業分野のものであれば、
将来の売上も見込めるでしょうし、利益も出るでしょう。
新幹線とか、燃料電池とか、自動車とか、そういうことです。
「自動車 市場規模」で検索してください。
楽観的な見通しが山ほどヒットします。
それを根拠に申請書を書けば良いのです。
そういうことです。それだけです。

もし産業分野的に難しいのであれば、ちょっとひねって下さい。
この前スーパーで「女性向けノンアルコールビール」を
売っているのを見ましたが、そういうことです。
すごいフライパンを開発するとして、でもフライパンだからなぁ、
というのであれば、例えば高齢者向けのフライパンを標榜する、
とかそういうことですね。
成長しそうな属性と絡めてしまえばこちらのものです。

まあ、なんといいますか、やっぱり製品ということですね。
何を作るかを明確にしておけば、将来の売上の確実性も
説明しやすくなりますからね。

6.ではどうすれば良いか
というわけでまとめですが、
結局、1に製品、2に製品、
3、4が無くて、5に機械、
という感じになるかなと思います。
どれだけ立派な会社でも、
製品が不明確だと平気で不採択を食らっていますし、
どれだけ小規模な会社でも、製品が明確でちょっと目新しければ
採択をされているように思います。
機械については、色々盛り込むのは問題ありませんが、
ストーリーがぼやけてしまうぐらいであれば
一つに絞ったほうが良いかと思います。

戦力の逐次投入のような申請書は通りにくいです。
「あれもやります、これもやります」
「だからあれも買います、これも買います」
ここはビシッと一点集中、一点突破を目指してください。
「これができます、極めてこれを作ります、だからこれを買います」
これですよ、これ。
こういう申請書のほうが、インパクトがあるじゃないですか。

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