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景気と円安

円安が進んでいますね。
「円安が進めば景気が良くなる!」
みたいな話もありましたが、ふたを開けてみるとどうもいまいちなようですね。
少なくとも中小企業にはあんまり恩恵がないようです。

恩恵がないどころか、マイナスだという話もありますね。
円安の進行により、非上場の中小企業全体で
1兆5000億円ほどの利益が減少する、
というような試算があるようです。
こういった話が出ると必ず対比されるのが上場企業ですが、
上場企業では円安進行により
1兆8000億円ほどの利益増加になるそうです。

これを見て、
「なーんだ、トータルではプラスじゃないか、良かった。」だとか、
「中小企業から買う金額を引き上げてあげればいいじゃないか」だとか、
そういう議論になりがちなのですが、問題はそう簡単なものではないと思うんですよね。

国内の上場企業で、
国内生産して輸出している会社って
あんまり残ってないと思うんですよね。
ほとんどすべての会社が海外に工場を持ち、海外生産、海外販売ですよね。
例えばトヨタアメリカを見ても、
アメリカで作ってアメリカで売って、あれはもうどう見てもアメリカの会社ですよ。
そのトヨタアメリカの利益が年間で100億ドルだったとすると、
1ドル80円なら利益が8000億円のところ、
1ドル100円なら利益が1兆円になりますよね。
ここ、この「差額」が円安による利益増加だ、といわれているものの正体だと思うんですよね。

じゃあこの差額の2000億円がそのまま
日本に返ってくるのか、というとこれは微妙ですよね。
だってドル建てでは利益が変わっていないんですから。
もちろん、配当だ何だという形で一部は返ってくるでしょうが、
大部分は現地における設備投資等に使われるんではないでしょうか。
そうなれば、国内には見た目の増加利益ほどの資金が還流しないことになりますので、
「あれ?円安だけど景気いまいちだなぁ」ということになってしまいますよね。

この問題の本質は、
日本企業の産業構造がシフトしてしまった、
ということにあると思うんですよね。
中小企業は確かに国内の大企業に向けて販売していると思いますが、
その最終製品が海外のマーケットに行くことが無くなってしまっている、
つまり国内のものづくりが国内販売で完結してしまっている、というところだと思うんですよね。
高コストな国内製造品が海外マーケットで勝負するのは難しいんでしょうね。
しかし、国内製造品が国内で消費され続ける限り、円安なんて何の意味もないですよ。
輸入材料のコストが上がるだけ、国内景気にとってはむしろマイナスかもしれません。

大企業が現地生産を進めていく中で、
国内産業と海外マーケットとの橋渡し役が
いなくなってしまったのかもしれません。
いま一番必要なのはこの橋渡し役なのかなぁと強く感じます。

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